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家族って難しい

 1月8日(金)、2021年最初のわかちあいを行いました。参加者は6名。今回も新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、zoomでの開催としました。

 今回は「家族に自分の病気のことをどのように伝えているか」ということそテーマとしてわかちあいました。わかちあいの中で、配偶者は勿論のこと、自分の両親や親族、そして配偶者側の親族に、自分の病気のことをどこまでどのように話すかということに戸惑いを感じているという声が複数出されました。自分の病気のことを知らせていなければ、家族や親族は、病気のことを考慮に入れずに様々な要求をしてきます。

しかし、その要求に応えることが自分の病気の性質上しんどいことがあります。「実はわたしは○○という精神疾患を持っていて…」と洗いざらい話すことができたら楽になるのではないか?」「いや、カミングアウトすることで家族や親族との関係が壊れてしまうのではないか?」そんな葛藤を抱えながら生活している方々がたくさんいらっしゃることと思います。

 ほとんどの精神疾患関連の教科書には、「家族や親族に自分の病気のことを伝えて理解してもらうことが大切です」と書かれています。また、「直接自分で家族に病気のことを説明することが難しい場合には、家族に一緒に受診について来てもらって、主治医から家族に直接病気の説明をしてもらうことも一つの有効な手立てです」ということも教科書では指摘されています。勿論このように教科書通りの対応ができ、家族や親族から理解が得られるにこしたことはありません。

 しかし、現実はこんな綺麗ごとではいかないことの方が多いのではないかと思います。

精神疾患は、身体の疾患のようにレントゲンでどこがどのように損傷しているのかということを視覚的に確認することができない疾患です。そのため、症状としての疲労によって昼間から横になって休憩をしていたり、外出しずらい等々という精神疾患を持った人を目の前にした時、「あの人は怠け者だ」などという評価をされてしまうことが多々あります。「視覚化できず、外見からも病気とは解らない」という精神疾患の性質は「うまく隠し通せる」というメリットもあれば、「簡単には理解してもらえない」というデメリットも持ち合わせています。

 今回のわかちあいを通して、一つとても大切なことに気づかされました。それは「必ずしも教科書通りに自分の病気を何が何でもカミングアウトしなくてもよいのではないか」ということです。深刻な面持ちで顔を突き合わせて「私は○○という精神疾患で、○○という薬を飲んでいて、○○をすることができません」と堅苦しい告白をすることは必ずしも必要ではないのではないかと思いを新たにしたのです。本当に大切なことは、「○○という精神疾患を持った私と健常者のあなた」という関係から一旦身を引いて、「一人のかけがえのない対等な人間同士」として、年月を共にしながら関係を深めていくということなのではないでしょうか。そして、お互いが大切な存在として関係を構築することができた時、肩に力を入れず構えることなく、ごく自然に自分の病気のことを話せる時が訪れるかもしれません。または、もうその時には既にあえて自分の病気のことを語る必要もなくなっているかもしれないのではないかとも感じました。

 「精神疾患を抱える私」である前に、私達は「かけがえのない一人の人間」です。

一日一日を飾らずに自分のペースで歩いて行けたらと思います。

                                       パウラ